貯金10万から1人で起業して6年。なぜ生き残れてるのかを振り返ってみる話し

一人で起業

貯金が10万しかない状況から起業して早6年。

なんで貯金10万しかなかったかというと、起業する前に勤めていた社員4人の会社、資金繰りが悪くなったせいで1年近く給料もらってなかったんです。ボーナスだってないし、年末調整だって資金繰りに回されて在籍してた5年間で1度しかもらってないし(笑)

で、貯金を崩して生活してたからほぼスッカラカンの10万円。

勤めてた会社は私が独立起業した1か月後に潰れました。。。

 

自分の担当していた事業部は仕入先への支払いの滞りが度重なったことによって取引停止が相次いでいたので潰れる1か月前に社長から「もうこの事業はやめるが、どうする?」と聞かれ、

「じゃあ、自分でやります・・・。」

っていうのが起業のきっかけで、こっちの事業の方は問題なかったのですが仕入先に支払わなきゃいけない分のお金も赤字部門に流用されてしまって2~3ヶ月分ぐらい各社にツケがたまり取引停止が続出し事業の継続ができなくなってしまったっていう状況。

いま思えばドン底な状況から起業して、運よく生き抜いてこれたわけですが、社員4人の小さな会社に勤めていたからこそ今があると思えるような「運がよかった」ことがいろいろとあります。

そして反面教師として深く記憶に刻み込まれた

・銀行の取り立て

・債権者からの督促

・不渡り回避のための金策

といったような小さな会社だからこそ包み隠さず目の前で繰り広げられたお金にまつわるドロドロとした部分とか。

今回、起業前のサラリーマン時代から振り返ってみてどうして貯金10万で起業して現在まで生き延びていられるのかをお話していこうと思います。これから起業を考えているなら、特に一人で起業するならちょっとした気づきやヒントになれれば幸いです!

 



 

「外資系から零細企業へ転職」編

まず最初に少しだけ経緯をお話ししますと、社員4人の会社に入る前は外資系のメーカーで営業をしておりました。外っ面はカッコよくいかにも「外資」って感じな会社でしたが、一歩中へ入れば昭和バリバリで年功序列な会社でした(苦笑)

 

そんな息苦しさを感じていた30代前半の時に取引先の社長との会食で同席していて紹介されたのが例の社員4人の会社の社長。当時は社長ともう一人しかいない設立間もない会社だったんですが、40そこそこの年齢なのに異様なオーラを発しクールだけど熱いものを持っているその社長に心酔しちゃいまして。。。

 

「こんな社長といつかは仕事をしてみたい」と思いながら飲み友達としてお付き合いをしていたんですが、その日は突然やってまいりました。

残業で残っていて時間は夜の8時半だったでしょうか。その社長からケータイに電話がきて開口一番「どや、うち来んか?」と。

“かまいたちの夜”の香山さんかと思うくらいのセリフでお誘いをいただいたわけですが、下に貼りつけた2BROの動画そのまんまみたいな・・・苦笑

 

 

 

「はい、是非!」・・・とは当然ならないわけで。

不満はあれど安定していて何百人規模の大きな会社から、急に1人2人の吹けば飛ぶような会社に転職するのか?家族もいるし・・・と、あれこれ考えたものの結局1か月後にはその社長の会社にとらばーゆしました。

新規事業を始めるのでその営業として声をかけられたわけですが、任される事業は外資系メーカーの営業でやっていた関連分野だし、ずっと新規開拓の営業をメインにやってきてそこそこ実績を出していたからゼロからのスタートであっても自信はあったので、

不安はあれど自分の力を試してみたい気持ちと閉塞感にあふれた今の会社から出たいという思いが勝って、そんなこんなで社長+1名の小さな会社に転職しちゃいました。

このちっぽけな会社に入ったからこそ学ぶことができて起業に役立ったことや運が良かったことがたくさんあります。これからその学んだことや役に立ったことなどを紹介していきます。

 

1.シビアな利益感覚

まず最初に小さな会社だからこそ学んだことといえばこの「シビアな利益感覚」でしょうか。大きな会社に勤めていれば自分が販売したもの1つあたり幾らの利益になっているのかってあまり意識することはないと思います。そもそも自分が売っても売らなくても毎月ちゃんと給料は出るわけですし。

でも、社員が数名しかいない小さな会社では否が応でも利益を意識させられます。売上じゃありません、利益です。だってどんなに売上があっても手残り=利益が残らなければ自分の給料は出ないわけですから。

今でも忘れもしないのは、転職して1ヶ月目の販売利益。意気揚々とスタートしたもののふたを開けてみれば1ヶ月仕事して利益はたったの20万円・・・

社長と約束した自分の月給は35万、その他営業経費などを考えれば会社にとっては大赤字な状況なわけで。。。いや~これはショックでした。

社長がやっている事業の方はその当時利益がでていたから、自分の給料は約束通り振込んでもらえたわけですが、自分が結果を残せなかったことで会社に損害を与えていることが明確に突きつけられ、大きな会社に勤めていたら感じることのない利益に対するプレッシャーが心に刻み込まれました。

だって大きな会社だったら極端な話、別に自分一人ぐらいがサボってもよっぽどのことがなければ毎月給料が当たり前のように振込まれるじゃないですか。でも、小さな会社は各個人が自分の給料以上の利益を上げ続けなければ潰れてしまいます。

結果よりもプロセスが大事・・・っていう話はよく聞きますし、それも大切なのはよくわかりますが、起業したら結果=利益がでなければ「死」が待っています。このシビアに利益を意識するという感覚を持てたのは後々起業するのに非常に良かったなと思います。

 

2.すべての業務を自分でやったこと

次に小さな会社だからこそ学べたこととして、営業だけではなく受注、発注、納品書の作成、請求書の作成、クレーム処理、入金と支払いの処理、未入金の取り立て・・・etc.とすべての業務をやっていたのもよかったですね(苦笑)

外資系メーカーで営業をやっていた時には「売ること」しか考えていなかったし、経理部や業務部があったから、そもそも自分の役割として事務的な部分はなかったわけです。

でも転職した小さな会社では「人がいない」から自分の事業部のことは自分でやるしかなくって、注文書や納品書、請求書などの書類もエクセルでフォームをいちから作成したり。

業務的な面では、注文がFAXではいってきたらまずお客さんにFAX受け付けましたよっていうための返信FAXをいれて、工場から製品が出荷されたら納期と運送番号を書いてまたFAXして・・・そして納品書を郵送して、さらにはエクセルの実績表に販売先、販売品目、販売額、仕入れ額、利益、粗利率、仕入れ先を入力してと一連の流れをこなしていき、

月末には請求書を作成して郵送し、月初には仕入れ先からの請求書をまとめ、未入金の顧客へは「行き違いだったら恐縮ですが。。。」と取り立ての電話を入れて入金予定日を社長へ報告したり(苦笑)

特にこの請求書の作成には気を使いましたね~!

例えばですよ、あるお客さんへの請求書が自分の入力ミスで5万円分請求漏れがあったとするじゃないですか。そうすると単純にいって5万の損失ですよね?!さらにその請求漏れした分の仕入れが3万円だったら

5万+3万=8万の損失になってしまいます!

そして仕入れ先からくる請求書も意外と数千円~数万円も間違えて過剰請求でくることが稀にあるのでしっかりチェックしないとそれだって大きな損失になります。

営業として売って利益を上げることも大切ですが、この請求書関係を正確にこなさないと一瞬にして利益が吹き飛び営業した苦労が水の泡になるという感覚も学ぶことができました。

このように業務も一通りこなしたので1人で起業してからも楽でしたよね。注文書とかの書類もエクセルで会社名だけ変えて流用しましたし^^

 

3.入金と支払いサイクルの重要性

これも小さい会社だからこそ身をもって学んだ部分ですが会社を経営するうえで肝となる「資金繰り」の部分。

たとえば350万円の売り上げがあったとします。仕入れは200万円で利益は150万円。営業の仕事をしている人なら150万も利益を上げて俺スゲーみたいな話になると思いますが、会社の経営という部分で見ると入金と支払いがどういうサイクルになっているかも考えないと黒字倒産だってあり得ます。

350万円の売り上げがあっても入金されるのは6ヶ月後、仕入れした200万は翌月末に支払いという状況ならどうでしょうか。5ヶ月間も手元から200万の資金が無くなることになります。

資金に余裕のない小さな会社では「相手に売った分の入金が遅く、自分の仕入れた分の支払が早い」のは致命的です。

 

この入金と支払いサイクルに関して転職した当初、社長から必ず守れと言われたのは最低限「末・末」であるということ。売ったものは翌月末までに入金させ、仕入れたものは翌月末に支払うというサイクルを超えて「入金が遅く支払いが早い」場合には取引するなと。

外資系メーカーで営業していた時には売ることばかり考えて入金・支払サイクルなんて1㎜も考えたことはありませんでしたが、潤沢な資金があるわけではない零細企業の場合には冗談抜きで「生き死に」に関わる資金繰りです。

この、お金が先に出ていく恐怖、お金が手元から減っていく危機感も学べたのも後々の起業に大いに役立ちました・・・

 

4.お金は分けて保管しろ

ある日、デスクで仕事をしていると税務署から社長あてに1本の電話が。どんな電話だったかというと・・・「滞納している消費税を早く支払ってください!」というもの(苦笑)

小さなオフィスで目の前に社長だから、話している内容は筒抜けで。

売上が入金されるときにはお客さんから消費税込で入金されてきます、当然ながら。お客さんから消費税分を預かっているという感じでしょうか。

でも社長、その預かっているものである消費税分も資金繰りに回してしまって払っていなかったんですよね・・・!

こんな経験があったから、自分が起業してしばらくたった時に消費税を支払う用の会社の通帳を新しく作ってお金を分けるようにしました。

1つの口座にまとめてしまうと「勘違い」をおこしちゃうんですよね。例えば口座の中に1000万入っていたとして実際には消費税として納税しない分が400万もあったら自由にできるのは600万ですが、こういう部分をちゃんと分けておかないと自由に使えるお金が1000万あるって思っちゃうんです。

会社を経営すると中間納税だとか源泉だとか忘れたころに払わないといけないお金が急に出てきたりするんでそういう時に慌てないためにも、そして自分の会社がいま本当に自由に使えるお金を正確に把握するためにも税金用にプールしておく口座も初期段階で作っておくのがおススメです^^

 

5.会社ケータイがなかったのは運がよかった

ここでは小さな会社だったからこそ起業後に「運がよかった~」と思えたことを少しお話します。

起業後に運がよかったと思えたこと。それは・・・会社ケータイがなく自分のケータイを仕事でも使っていたっていうこと。

個人のケータイをそのまま仕事で使わせれば会社にとって基本料金がかからないからお得っていう観点で会社ケータイは用意されていなかったんですが、そのおかげで起業してからも今まで通り「お得意さん」が自分のケータイに電話をかけてきてくれましたので。

当時も、そして起業後も仕事の内容としては、とある機械部品を1部上場の大手販売店さんに卸す商社をしているのですが、「○○の××って部品ある?」って感じに現場の担当者たちが営業である自分の方に電話で問い合わせがくるんです。電話が9のFAXが1っていう割合で電話が圧倒的で。

こういう状況だから、もし会社ケータイで仕事をしていたら起業後に電話番号が変わってつながらなくなったことによる損失はかなりのものだったと思います。

自分のケータイ番号が各店舗の電話の短縮番号や店舗のケータイの連絡先に登録されていて、何も考えずに問い合わせをしてきてくれる環境ができあがっていたので、それが電話番号変わりましたっていうことになったらかなりのお客さんがフェードアウトしていったはずです。(起業してから2年目ぐらいまで「会社変わったんですか?」って言う人がいるくらい無意識に電話してきた人もいたくらいでした)

もしあなたも起業を考えているなら、いま会社ケータイにお客さんから嫌になるほど電話がかかってきてても、起業して電話番号が変わった瞬間にパタッと電話が来なくなる=見込んでいた売り上げがたたなくなるリスクがあることは認識しておきたいところです。

 

「給料遅延」からの「給料なしでタダ働き」編

さて、ここからが見どころ?の、「給料が1年近く出ない」というなかなか刺激的な状況になっていきます。

でも、なんで給料でないのに仕事続けてたの?

って思うかもしれませんが、
その理由としてはいくつかあって

・社長に惚れてたから

・小さな会社ゆえの自分だけ
逃げるわけにはいかない的な考え

・いま辞めたら自分が作ったお客さんを
タダで捨てることになる(=もったいない)

といったことが挙げられます。

では、なんで給料がでない状況になってしまったのか。それは会社の資金繰りが厳しくなったからにほかなりません。

私が担当していた事業の方は、会社に大きく貢献するとまではいかないまでも経費や自分と事務員の給料を差し引いて多少は会社に残る程度は利益を出し続けていました。

事業内容的にも、在庫を持つでもなく電話やFAXで注文を受けたものを工場から顧客へ直送するいわゆる「右から左へ」といった商社機能で、入金と支払いも双方「末締めの翌月末」なのでいろんな意味で資金負担がない業態だったんです。

じゃあ、なにが資金繰りを悪化させたのか。

それは、社長が新たに取り組んだ事業が「支払先行型」のビジネスだったことで営業すればするほど資金負担が膨らみ首を絞めていく状況だったからなんですね。

工場向けの設備を製造し販売するビジネスだったんですが、まず最初に売り込み先であるいろいろな工場への「デモンストレーション用の設備」を作らないといけません。もちろん社員数名の小さな会社だから製造は外部委託しますが先にお金を払わないと作ってくれません。

ここでまず1台あたり100万前後の資金負担が発生します。

次に作った「デモ設備」をいろいろな工場へ貸出し使い勝手や経費削減効果があるかなどの実証実験をしていきますが、設置する工場は北は北海道、南は九州など遠い場所ばかりで出張費だけでもバカにならないし、しかも実証実験は3~4か月もかかり・・・

で、実証実験で実績がちゃんと出れば契約に進んで莫大な利益がでるんですが肝心な経費削減効果がないことばかりで・・・

そんな状況だからどこも契約してくれず、じゃあ設備を改良しようとまたお金を突っ込んで改良品を作って契約してもらえなかった工場にリベンジで実証実験をトライするも結果は変わらずで・・・ということを何度か続けていくうちに銀行などからの借入はふくらみ、その返済のために私たちの給料が使われて(苦笑)

そうこうしているうちに私の事業の方の仕入れ先へ支払う分のお金までもが借金返済に回されてしまい、遅延や未払いが続いてほぼすべての仕入れ先から取引停止になって終了⇒独立・起業という流れでして。。。

ちょっと長くなりましたがここでは資金繰りが悪化した状況下でのお金にまつわる生臭い部分や、給料がでなかったことで起業後に助けられたことなどお話していきたいと思います。

 

1.お金は貸してくれる時に借りておけ

社長がよく言っていた言葉があります。それは・・・「銀行は雨が降っている時には傘は貸してくれねぇんだよ」っていうこと。

資金繰りが悪化してきて「雨が降ってきた」から銀行に「傘(お金)」を借りに行ってもそんな時には貸してくれないもんだと。

その数年後、ドラマの半沢直樹で「銀行は雨の日に傘を取り上げ、晴れの日に傘を貸す」ってセリフを聞いた時には思わずうなずいてしまいました。

資金繰りが悪化している最中に、銀行、信用金庫、信用組合といろいろな担当者が会社にきては社長が借り入れの相談をしていましたが、

「今○○○○万あれば、○月には×××万の利益が・・・」みたいな話を資料を出しながら一生懸命やっていましたが、結局どこも貸してくれずヤバい筋も含めノンバンク系に走っていました。

どんなにいい話をしても、決算書類を見れば火のクルマなのはバレバレですからそんなリスキーな会社に貸してはくれないですよね。

そうこうしているうちに元々借入していたメインバンクから「今の残債を一括で返済してもらえれば、新規で〇〇〇〇万を~」なんて話がきたから社長、いろんなとこからお金をかき集めてきて言われた通りに一括繰り上げ返済して新規に借り入れをおこそうと思ったら「やっぱり対応できません」と手のひらを返されて(苦笑)

いや~、衝撃的でした。。。

こういったことを目の前でリアルに見て、感じただけに、自分は起業後1年ぐらいたった時に銀行から借りませんかときた時はすぐ借りておきました。

最初は50万、次がたしか200万、で1100万だったかな?実績を重ねることで貸してくれる額が増えていきましたが、もちろん借りたお金には手をつけませんし、毎月の返済額がいくらで、口座の中にあるお金のうち借り入れ分がいくらというのはしっかり月次の実績表に反映させて会社のお金と借入金を区別できるようにしています。

この借入したお金は万万が一にどうしても資金が必要になった時のために実弾を手元に置いておく保険的な目的で、口座から毎月返済金額が引かれていくだけにしていますが1000万ぐらい借りても月の利子は1万円ぐらいだからいざという時の保険料と思えば、高くはないコストかな~と。

よく銀行に実績を作るために借り入れをしてウンヌン・・・なんて話を聞きますが、どんなに実績があっても会社の経営がヤバくなってれば貸してなんかはくれません。それを前職の時に目の前で見ています。

これからあなたが起業を考えているなら、

 

・どんなに使う用途がなくても
貸してくれる時に借りておけ

・借りたお金には手を付けるな

・借りたお金でビジネスをするな

 

ということを伝えたいと思います。

異論もあるかもしれませんがこれを守れば少なくとも借金の返済ができずに潰れるということにはなりませんので!

 

2.「少額の借金」ほど取り立てが厳しい

これも資金繰りが悪化し窮地に立たされていた時に社長から聞いて「なるほどな~」と感心したことなんですが、

5000万の借金と60万の借金があったとしたら、60万の方が取り立てが執拗で厳しいんだそうです。

5000万のお金を貸している債権者は、もし会社がブッ飛んだら全部パーだからなんとか会社を立て直してもらおうと意外にも協力的だと。「社長、できることは協力しますから!」と。

かたや60万とか少額の債権者の方は、頑張れば回収できそうな額なだけに必死になって取り立ててくると。それはもうカラッカラなボロ雑巾でもう何も出ないような状況でもちぎれんばかりに絞ってくると。

金額の大小で人間の行動ってこうも変わるもんなんだと勉強になったとともに、取り立てられる人間にはならないようにと固く誓ったのは言うまでもなく・・・

あとこれは余談ですが、取り立てと言えばすごく印象に残っているのが債権者たち数名が会社に乗り込んできて「通帳&印鑑 没収事件」ってのがありましたね(苦笑)

自分が担当していた事業の売り上げを赤字事業の支払いに流用して、仕入れ先に支払いをしていなかったから、売り上げが振り込まれる口座の通帳と印鑑を出せ!って押しかけてきて。

社長の手から債権者へ通帳と印鑑が手渡されたシーンは今でも忘れられませんね~。

 

3.ネット副業との出会い

資金繰りの悪化に伴って給料が遅れだし、分割で支払われたり、減額されたりと不安定な状況になっていった頃に「バイトでもしないとやっていけない・・・」と思いはすれど、業務がなかなかにハードで体力的に厳しいのでなにか自宅でできるようなことはないかと思っていた時に、ふと読んでいたメルマガで目に留まったのがコピーライティングという言葉。

パソコンで文章書いてお金がもらえるのか!

と、驚いたことを今でも覚えています。でもこれがきっかけで後々いまの自分の会社の運命を左右するような出会いがあるとは思いもよらず。

早速ネットで文章書きの仕事を検索してみると、当時はクラウドワークスとかランサーズとかのクラウドサービスがまだなかったので依頼主を探して直接メールして仕事くださいって感じでしたが、最初に仕事をくれたところはアフィリエイトサイト用の記事を書くもので800文字×20記事=4000円っていう報酬内容。(コピーライティングじゃなくて、ただの文章書きの外注ですね苦笑)

指定されたURLのページを紹介するっていう内容でしたが、最初は1記事書くのに1時間とかかかっていましたが、慣れてくると15分くらいで書けるようになって時給800円っていう感じで。

給料が出なから少しでも足しにしないとと、狂ったように記事を書きまくって結局1年半ほどやって110セットぐらい=2200記事分ぐらいやりましたでしょうか。報酬も最終的には20記事で8000円と当初の倍までもらえるようになりましたし。

でもずっとやっていると飽きてくるので他にライティングを依頼している人がいないか探してみたところ、いま自分がやっている仕事に関連することでブログを書いてほしいという募集をしている人がいたんです。

この人がいまの自分の会社の運命を左右するビジネスパートナーになろうとはこの時はつゆ知らず・・・

で、早速その人に「今こういう仕事をしていて、あなたの希望の内容とは少し異なるけど〇〇っていう切り口なら文章書けますけど」って感じで提案しつつメールしてみたんです。

返信を楽しみに待っていれどいつまでもメールがこなくて、「あ~無視されたかな~、やっぱダメか~」と諦めたんですが、1か月ぐらいたった時に突然返信が来てブログをお願いしたいと。

自分が提案した内容で構わないからと、用意されたワードプレスの中でブログを書いて1記事いくらっていう仕事を依頼してもらえたんですが、ここで「ワードプレス」を使ってっていうのも運がよかったことで、起業後にアフィリエイトをやる際にもスムーズにサイト構築ができましたから。

で、自分の仕事で扱っている部品のことなどをいろいろ記事にしていったらある日、ブログ依頼主のほうにその記事で紹介した部品を買いたいというメールが来ているから売ってもらえませんかと。

でも当時の会社では個人客はNGで直接販売できないから、ブログの依頼主(個人事業主)に販売して、そこから個人客へ販売するという流れを作ったんです。でも扱っている部品がちょっと特殊だし、ブログ依頼主は部品のことなど全くわからないので自分が個人客へのメールでの対応などゴーストライターとして実務をこなすかわりに、ブログで売れた部品の販売益は折半しようということで新たな取り組みがスタートしました。(まあ、こんなことも小さな会社だからこそバレずにできたのかな?!)

このブログ⇒部品販売という新たな「個人的な収入源」ができたことによって給料が出なくてもなんとか食つなぐことができましたし、さらには起業後もブログ依頼主とはビジネスパートナーとして今も続く大得意先となっています。

ブログの依頼主としても当初僕に記事を依頼したときはアドセンスで月に4~5万でも稼げればいいかなぐらいの考えだったようですが、ホントちょっとしたきっかけで点と点だったものがどんどんつながって大きな流れになっていくもんです。

 



 

「ついに起業、独立」編

さて、給料が出なくて約1年。会社がつぶれる1か月前に社長から呼び出され、自分の担当している事業は「継続できないので今月末で終了するが、どうする?」という話しが。

その前からずっと社長の資金流用によって仕入れ先への支払いが滞って仕入れができない状況になっていたから、今後のことを考えておけって言われてたので別に驚きはしませんでしたが(苦笑)

で、社長へ「自分でやります」と伝え、起業の道を選んだわけですが貯金もない中でどうやって会社を作ったのか・・・など実体験をご紹介していきます。

1.合同会社を10万円の貯金で設立

1年近くも給料が出てなかったので手元の資金はわずかに10万円程度の状況でしたが、いままでの販売先である1部上場の大手さんと継続して取引するには「法人格」が必要なので個人事業主ではなく法人を設立する必要があったんです。

で、ネットでいろいろと調べてて「合同会社」なら安く作れるっていうのがわかったので株式会社ではなく合同会社で設立することに。

ちなみに私は以下の行政書士さんが運営するサイトから申し込んで役所で受理されるまで2週間ぐらいでできました。

 

「かんたん会社設立」
https://kaisyasetsuritsu.jp/

 

サイトが提携しているはんこ屋さんもあって、会社実印、銀行印、角印の3点セットで5000円ぐらいだったでしょうか。とにかくお金がなかったのでハンコ3点セットが安く用意できたのも助かりましたね^^

で、設立にかかったお金としてはトータルで8万ぐらいだったかな?個人の口座を持っている地元の銀行に会社の口座の開設に行って資本金として1万円をいれて、わずかに10万の貯金でも会社を設立することができました。

よく起業を考えてるっていう知り合いなどから「合同会社だと対外的にデメリットはないのか?借入とかで不利なんじゃないか?」なんてことをよく聞かれましたがそんなデメリット、何にもないですね(笑)

そもそもグーグルやアップルのような世界的企業の日本法人だって合同会社ですしね!

まあ、あるとすれば株式会社なら名刺に「代表取締役」とかってかっこよく書けるけど、合同会社が相当するそれは正式には「代表社員」っていう微妙な感じになっちゃうってことぐらいでしょうか?!(ダサいから私は名刺に「代表」としか記載してませんね~)

 

2.起業して最初に感じた「会社員のありがたみ」

人生初となる「起業」をした1日目の朝にまず最初に感じたのは、何もない荒野に一人素っ裸で立っているような感覚・・・

漠然と「誰も守ってくれる存在がいないんだ・・・」っていうこと。

起業 悩み

起業したことで自分を守ってくれるのは自分自身しかいない、どんなに給料が出ないようなダメ会社であったとしても、「会社という組織」に属している安心感というものがあったんだなとイヤでも認識させられました。

もともと数名の小さな会社だったから、フツーの会社と違って自分の身は自分で守るという意識はあったはずですが、やはりいざ起業し独り立ちとなると違うもんです。。。

そして起業当初、常に感じていたのは「明日がない」感じ

「明日がない」感じって何かというと、今日売り上げがあったとしても明日は何も保証されていないことが原因となって感じる漠然とした不安・・・。

会社員であれば売り上げがあろうとなかろうと、給料日になれば給料が振り込まれますが、起業して自営となれば売り上げがなければどんなに頑張っていようと1円も給料はもらえません、当たり前のことながら。

「売り上げがなければ死ぬ」という焦りの気持ちや、今日売り上げがあっても明日も同じように売れる保証は何もない不安が入り混じる何とも言えないスッキリしないどんよりとした気持ち・・・

この感覚は会社員ではなかなか感じることのないことなので、起業を考えているなら覚悟しておきたいポイントです。けっこうヘビーですから・・・

3.気になる会社のコスト、固定費の話し

起業で気になる部分として、毎月どれくらいのコストがかかるのかっていうお話をしていきたいと思います。

この会社運営コストって、業種や業態によってかなりバラツキがあると思うのであくまで私の会社の場合で参考までにですが、

・携帯代⇒約1万(通話し放題)
・インターネット料金⇒約5000円
・インターネットFAX⇒約5000円
・税理士さん⇒4万4000円

合計:約6.2万/月  以上。

私の会社の場合、絶対に必要不可欠な経費としては上記の4点ぐらいです。

 

では会社のスペックはどんなかというと、

・自宅兼事務所で一日中家で仕事してる
・電話はケータイだけ
・社員ゼロ、一人親方(ビジネスパートナーは1人いる)
・商社機能なので在庫とかナシ
・会社員時代に作ったお得意さんとネット販売
(新規に営業とか全然してない・・・)

と、まあこんな感じです。

自宅兼事務所=家が会社だから家賃もかからなければ、交通費もかからない。社員がいないから自分の給料だけ考えればOK。

仕事の内容はメーカー(工場)から部品を仕入れて全国に店舗があるお得意さんへ販売する商社機能ですが自分のところに在庫を持つことはなく(=資金負担や倉庫代などがかからない)お得意さんから部品の問い合わせが来たら工場に電話やFAXで在庫や値段の確認をして、注文が入ったら工場からお得意さんの店舗に直送してもらうという流れ。

いわゆる「右から左へ」っていう感じで、「無在庫転売」ですかね。

会社員時代に全国に営業に行ってお得意さんになってくれていたお客さんが起業後もお付き合いしてくださっているから新規開拓の営業に行く必要もなく。

こんな感じだから、ホント会社運営にかかるコストがほとんどないんですよね。たいした固定費もなく、在庫もしないから先払いの仕入れ資金の必要もないし、借り入れはあれど手をつけていないから返済に追われることもない超低コスト経営だから起業当初の売り上げが低いときでも赤字にならずに利益を残せましたし、おかげさまで何年も会社を続けてこれている理由かなと思っています。

 

これから起業を考えているなら

さて、ここまで私の起業した道のりをお話してきましたが、これからあなたも起業をしたい、しかも1人で起業と考えているなら最後にもう一度お伝えしたいことは・・・

お金を借りて起業するな

これにつきます・・・!

借金さえなければホントに楽ですし、万が一うまくいかなくて失敗、廃業することになったとしても「傷」を最小限に抑えることができます。

開業資金を借入しなければ、いま起業できないのであればそれはするべきではない、いまはタイミングではないと考えてはいかがでしょうか。

そしてこの借金と同じく「固定費」もいかに抑えられるかも重要なポイントです。借金がなく固定費もミニマムに抑えられればそれだけ成功確率、会社の生存率が上がりますので。

「起業なんかしなきゃよかった・・・」なんて後悔することにならないためにもご参考になれば幸いです!!

 

 

 

 

 



 

 

 

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